エンジョイボタニカルライフ推進室

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【インタビュー】エンジョイボタニカルライフ推進室のビリさんってどんな人?

 

こんにちは。ブログ担当のきょうかです。先日ふと思ったことがあります。

これまでビリさんにいろいろと植物について教えてもらってきました。でもよく考えてみたら、どうして植物を好きになったのか、どうやって推進室の活動を始めたのかなど、ビリさん自身の話をじっくりと聞かせてもらう機会が意外となかったのです。

というわけで今回は、ビリさんにとってのボタニカルライフについて、根掘り葉掘り聞いてみたいと思います。

 

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びわの木と育った少年時代

──さっそくですが、ビリさんにとってのボタニカルライフの原点って、どんなことだったのですか?

もともと母が植物好きで、庭が草木でいっぱいだったんだよね。だから、水をやったり、草むしりをする姿も当たり前の光景だった。

小学校に入る前くらいかなあ。びわを食べたときに、ふと種を蒔いてみたくなったの。そしたら母に「蒔いてごらん」って言われて、ダイニングの窓からぽいっと投げたんだよ。すると、しばらく経って見たことのない木がにょきにょきと生えているのを発見して、母に聞いたら、それが蒔いたびわだってわかった。あのときは本当にうれしかったなあ。

 

──幼くして、植物の芽が出る喜びを身をもって体感したんですね!

うん。それで、最初に見つけたときは家の壁を避けるように生えていたから、のびのびと成長できる場所に植え替えてあげた。自分の部屋の窓からも見えるところだったから、窓の外をのぞくたびにうれしくて楽しくて…。

当時は、“植物=毎日水をあげるもの”っていう認識だったから、水やりを欠かしたことはなかったよ。雨が降っていても傘をさして庭に出てじょうろで水をあげて。健気な少年でしょ?(笑)。アブラムシが付いたときなんかは子どもながらに「虫に食べつくされちゃう!」って心配になって。母から「牛乳やコーヒーをかけるといいって見たことがあるけどどうだろうね」って聞いていたから、自分で作ってかけてみたりもした。コーヒーを勝手に作ったことが親にばれたら怒られちゃうって思ったから、こっそりとね(笑)。

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──びわの木のことを本当に大切に思っていたんですね。

うん、ずっと一緒に育ってきたからね。両親も、ぼくと一緒に成長してきた木をすごく大切に思ってくれて。実家を出たあとも、「今年もびわがなったよ」って連絡をもらったり。今でもときどき実家に帰ると、必ずびわの木のもとに行って、「大きくなったなあ」「ちゃんと立っているなあ」って眺めてるんだ。

 

──びわの木とともに育ったことが、ビリさんにとってのボタニカルライフの原点だったのですね。

そうだね。芽が出ているのを見つけたときの光景は今でも憶えているし、思い出しただけでもめちゃくちゃテンション上がっちゃう(笑)。

 

大人になってから、改めて植物との暮らしがスタート

──びわの木を育てるようになって以降、ずっと植物が好きなんですか?

それがね、びわに対しては特別な思い入れがあったから大切にしていたんだけど、植物を育てることに対しての熱っていうのとはちょっと違って。園芸にハマったのは、社会人になってからだったんだよね。

 

──どんなきっかけがあったのでしょうか?

6、7年前くらいだと思うんだけど…。仕事で訪れた先で、コケが木漏れ日を浴びている姿が目に入って。何だかすごく魅力的に感じて、ふと「家でも眺められたらいいな」と思ったの。それで、コケを石に活着させてみようと思ったんだけど、やり方がわからなかったから、近くの園芸店に行って、いろいろ教えてもらって。でも、初めてだったこともあって上手にできなかったんだよね。

だけど失敗したままじゃいやだし、もう一度リベンジしたよ。そのとき目にとまったガジュマルも連れて帰って、根っこにコケを植えたりなんかしてね。あとは雑貨が好きだったから、岡本太郎の作品のレプリカに穴をあけてコケを活着させるのにもトライしたり(笑)。初めから、器は自分で選びたいという思いが強くて、セットアップで販売されていたものをわざわざ植え替えてもらったりもした。そのお店は、とにかくぼくのやりたいことに付き合ってくれるところで、今でもお世話になってるよ。

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岡本太郎「犬の植木鉢」のレプリカ×スナゴケとハイゴケのMIX

 

──それから、手のひらサイズの鉢植えがどんどん増えていったのですか?

そうそう。自分がやりたいことを叶えるために、何度も店員さんに質問したし、気づいたら毎週のようにお店に通ってた。そのぶん、鉢植えもどんどん増えるわけ。それで、しれ〜っと増やせる大きさの鉢植えとして買っていたのが、手のひらサイズだったんだよね(笑)。

一度、大きめの鉢植えを相談なしに買っちゃったことがあって…。そのときはさすがにかみさんが見逃してくれなかった(笑)。やっぱり、トータルコーディネートってあるし、みんなの家なんだから、相談はしたほうがいいよねっていうことで。それから部屋の雰囲気とかかみさんの好みにも寄せるっていう視点を持つようになった。いちばん重要なのは、かみさんとの共存だからね(笑)。

 

植物が、人も、気持ちも、思い出もつなぐ

──園芸コミュニティの運営などはいつごろからするようになったのでしょうか?

園芸の楽しさをたくさんの人と共有したいと思って始めたのが、“緑交(えんこう)”。「えんこう」と読むのは、あえてだよ(笑)。Facebookのコミュニティとして運営をして、オフ会を開いたり、植物のメンテナンスや植え替えのイベントを開催したり。基本的には、植物が好きな人であれば誰でもウェルカム。お酒を飲みながら植物について語ったりしていくうちに、植物そのものが楽しいのはもちろんだけど、緑を媒介に人とつながることが楽しいんだっていうことにも気づいたんだよね。今でも緑交のオフ会はときどき開催しているよ。 

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──その後、どんな経緯で推進室を運営することになったんですか?

あるとき緑交のFacebookグループに参加申請してくれた人が今のボスでね(笑)。そのころちょうど転職を考えていたタイミングで、ボスの会社(株式会社フローラル・プロダクツ)が社員を募集していることを知って、話をさせてもらったの。ぼくは農業系の学校を出たわけでもないし、植物業界で働いた経験もなかったけれど、熱意だけはあったから。生活のなかで植物を楽しむということを広めて植物の価値を高めるような事業をやっていきたいと。一生懸命話したら、一緒に仕事をさせてもらえることになった。社内プロジェクトのような形で、エンジョイボタニカルライフ推進室の活動をさせてもらっているんだよ。

推進室の活動を始める前に、半年間、平日単身赴任をしていた時期があったんだけど、そのときに、植物の可能性について身をもって体感するできごとがあってね。

 

──どんなことだったのでしょう?

そもそもぼくが転職を考えていたきっかけっていうのが、親父がガンになったからだったんだよね。もう何度も再発を繰り返していたから、サポートしたかったし。前職は不規則な仕事で決まった休みも取りづらかったから、転職をしようと考えたんだ。

転職してすぐに本社研修に入ったんだけど、ボスから「うちの主力商品を育ててみ」って、旭山桜の鉢植えをもらったの。そんな矢先に母から連絡があって、担当の先生が言うには「お父さんは今年の桜は見られないだろう」と。なんかね、そのとき「おれが親父に桜を見せてやる」って思ったんだよね。

それからは、できるだけ早く旭山桜を咲かせるために、開花調整に挑戦する毎日。常に鉢植えを持ち歩いて、仕事の合間にも日向の位置に少しずつ置く場所をずらしたりして。当時は、平日は千葉の会社近くのマンション、週末に東京の家へ戻るっていう生活をしていたから、鉢植えも車に乗せていつも一緒に連れて行き来してた。でも親父には開花を急ぐ理由を知られたくなかったから、病院には持っていかないようにして。

 

──いつごろ咲かせられたんですか?

前の年の年末から開花調整を始めて、2月21日に親父のところへ持っていったかな。親父には「今お世話になっているボスがくれた桜が咲いたんだ」って言って、病室に置いて。そしたら病院の人や、お見舞いの人とかが、みんな桜をほめてくれたみたいでね。親父もすごく喜んでくれた。でも母が言うには、「今息子が植物の業界で頑張っていて、それで咲かせてくれた桜なんだ」って来てくれた人たちに話すときがいちばんうれしそうだったみたい。母も、親父がいつ死んでしまうかわからないような状況で不安だったから、病室で咲きほこる桜にすごく救われたんだって。

結局、先生が言ったとおり、親父はその年の桜を見られずに亡くなっちゃったんだけど、こんなつらいときに、たった一鉢の桜が本当にいろんな人を支えてくれたんだなって…花が散って、葉っぱだけになった桜を見てしみじみと思った。

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△当時の旭山桜

 

──そういった想いが、現在の推進室の活動にも現れているのですね!

うん。大切に育てた苗が芽吹いたときの感動だったり、植物の成長とともに毎日の小さな変化や喜びにも気づけるようになったり…。植物は、人間の心を豊かにしてくれる存在だなってすごく思う。だから単純に育て方だけじゃなくて、植物と共存するための考え方や、植物との暮らしのなかにある心の機微なんかも共有できたらいいなって思ってるんだ。

普段の生活も仕事も、マニュアルどおりにやるだけじゃ楽しくないでしょ?  植物との暮らしも、インターネットで検索できる育て方をマニュアルどおりに実践するだけじゃもったいない。だから、楽しみながら植物と暮らすためのちょっとしたコツだったり、きっかけを提供できたらと。そんな水やりひとつとっても楽しんじゃえるようなエンジョイボタニカルライフを、これからもガンガン推進しちゃいます(笑)。

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